感情的

税務調査では犯罪者扱いされる?

税務調査は午前中に始まるのが一般的ですが、そこでまず調査官は、世間話から切りだしてくることが多いでしょう。
「最近めっきり寒くなりましたね」「最近の業況はいかがですか?」などなど。
「前置きはどうでもいいから、早く税務調査を始めてくれよ!忙しいんだから」と思うでしょうが、
調査官からすると、世間話も大事な税務調査のテクニックの1つなのです。

税務調査を喜ぶ社長はいません。
ですから特に税務調査初日は、社長が調査官を警戒しているのは、調査官としても当然のことと考えています。
調査官も警戒されたままでは、社長が質問に対して、まともに質問に答えてくれるわけがありません。
だからこそ、世間話をすることで、心を開いてもらうことから始める、というのが調査官のテクニックなのです。

話すことに慣れてくると、調査官は(あえて)どんどん話し込んできます。

調査官:「社長はゴルフが好きなんですか?」
社長:「そうですね~まあ、たまに行きますかね。付き合いもありますし。」
調査官:「どれくらいのスコアでまわられるんですか?」
社長:「うーん、最近はダメでやっと100切れるくらいかな~」
調査官:「月に何回くらいゴルフに行かれますか?」
社長:「月に2、3回かな」
調査官:「プライベートでは誰と行ったりするんですか?」
社長:「プライベートでは、仲の良い社長連中と行ってるよ」
調査官:「プライベートで行っているゴルフも会社の経費になってるんじゃないですか?」
社長:「・・・」

これは非常に簡単な例ですが、話し過ぎることで、プライベートの経費を否認されてしまうというのは、税務調査での典型例でもあります。

では、「調査官の質問に対して無視をすればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、これがダメというのが難しいところです。
税務調査は「受忍義務」があるので、質問には答えなければならないのです。
その一方で、話し過ぎてしまうと、その会話内容から否認されてしまうこともあるのです。

税務調査の中で、精神的にもっともキツいのは、犯罪者扱いされることかもしれません。調査官から、あたかも何か悪いことをやっているかのように質問(尋問)されることもあるでしょう。

「この取引先からの売上は他にないんですか?」
「接待交際費の中に個人的な飲み食いが入ってるんじゃないですか?」
「社長が個人的に、リベートなんか受け取っていないですよね?」

さて、税務調査を規定する法律にはこのように明記されています。

国税通則法第74条の8(権限の解釈)
第74条の2から前条まで(当該職員の質問検査権等)の規定による当該職員の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。


つまり法律上、税務調査は「犯罪捜査」ではないのだから、あたかも脱税しているかのように扱ってはならないと、きちんと法律で規定されているのです。
しかし実際のところ、国税調査官は脱税している人を何人も見てきているわけですし、追徴税額を課すことが仕事になっていますから、税務調査ではどうしても会社や納税者が悪いことをしているかのような態度で臨んできます。

ここで社長として大事なことは、税務調査では絶対に「感情的にならないこと」。
感情的になってしまったら負けだと思ってください。調査官の立場になって考えてみてください。彼らも人間です。機械ではありません。ですから調査官にも感情があります。
「この社長はひどく感情的だな」と思われてしまうと、調査官も感情的になるのが世の常人の常です。

感情的になってしまい、

「何であなたは俺を犯罪者扱いするんだ!」
「俺が本当だと言っているのにまだ疑うのか!」

となってしまうと、本来は早く終わった税務調査ですら、調査官が感情的になって長引いてしまい、それが結果で最終的に追徴税額が増えてしまうこともあるのです。これでは元も子もありません。
追徴税額を少なくするためにも、感情的になってはいけません。また、あまりに調査官の態度がひどい場合は、上記の法律を持ち出して反論すべきです。