税務調査でもっとも怖い「交際費」という否認指摘

「交際費」といえば、お客様や取引先と飲み会で支出した費用(接待交際費)を

指すと考えるのが、一般的な考え方だと思います。

しかし、税金(法人税)でいう「交際費」というのは、かなり違う概念を持っています。

まず交際費の税務処理を簡単に説明しておくと、

原則損金(税金計算上の経費)にならないと定められています。

ただし、資本金1億円以下の場合は、800万円以下の部分は損金になります。

 

さて、税金上の交際費の概念なのですが、飲み食いだけではありません。

例えば、自社の社名を入れたゴルフボールを作成し、

取引先に渡した場合は「広告宣伝費」になりますが、

取引先の社名を入れたゴルフボールであれば、「交際費」と処理することになります。

この違いは、自社の名前を入れるのは、自社の名前を広めたいという目的なので広告なのですが、

相手方の名前を入れるというのは、「相手方の歓心をかうような行為」に該当するため、

飲み食いと同じで交際費と判断されるわけです。

これは、飲み食いがゴルフボールに形を変えただけだろうという論理です。

 

実は、支出が交際費になるかどうかは非常に微妙な判断をともなう場合が多くあり、

税の専門家である税理士であっても、判断に迷うことが多くあります。

ここで知っておいていただきたいのは、交際費と指摘される可能性のあるケースです。

注意しておかなければ同じ支出でも、税務調査で交際費と指摘されるだけで、

追徴税額が発生してしまうケースがあるのです。

 

税務調査でよくモメる交際費との区分に、「情報提供料」があります。

簡単にいえば、顧客や案件を紹介してもらい、

ビジネスが成立した場合に謝礼(キックバック・リベート)を支払うような場合です。

このような支出する業種としては、

建築業や不動産業・保険代理店業を筆頭に、一般的に行われている行為といえます。

 

では、なぜこのような謝礼(情報提供料)が、交際費と指摘される可能性があるのでしょうか?

すでに解説しましたが、交際費は税制上どのようなものかというと、

「相手方の歓心をかうような行為」、つまり相手方に対してお金を使うことで、

相手が自分のことを気に入って仕事をまわしてくれるような行為に対する支出全般を指すわけです。

このように広く定義すると、情報提供料も特定の相手方に支出し、

かつ相手の歓心をかうような行為と言えなくもない、というわけです。

そこで税制上は、下記3つの要件をすべて満たしている場合は、

情報提供料として全額損金にしていい、裏を返せば、これらの要件を1つでも満たさなければ、

交際費と判断するというルールを作っています。(租税特別措置法関係通達61の4(1)-8)

 

(1) その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。

 

(2) 提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、

これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。

 

(3) その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。

 

さて、いかがでしょうか。

実務の現場では、支払う相手方と締結した「契約書がない」、

何に対する情報提供料なのか説明できる状態にない、などの問題が生じている場合が多いのです。

情報提供料は、ビジネスで必要であることを考えると、

経費(損金)になって当然かと考えがちです。

しかし上記の要件を満たさないために、

税務調査で交際費と否認指摘されるケースが多いのです。

契約書を準備するなど、事前に準備しておくことで、税務調査での否認リスクは下がります。

リベートなどの支払いがある場合は、十分注意してください。

 

情報提供料(リベート・キックバック)以外にも、「福利厚生費」「広告宣伝費」など、

交際費と混同しやすい支出は数多くありますが、

全般的に知りたい場合は、国税庁のサイトからこちらをご覧ください。

 

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm

 

このような支出がある場合は、交際費になる可能性があると考え、

税務調査に備えて準備・理論武装しておく必要があるのです。

ぜひ、注意してください。