税務調査は、税務署の調査官が来て、対面で行われるものです。
目の前で帳簿や請求書・領収書などを確認されながら、
疑問点があれば調査官から質問があって回答する、というのが税務調査のスタイルです。
税務署側が圧倒的に有利なのです!
対面だからこそ、誤りがあった場合の否認指摘も口頭で行われることになるのですが、
税務調査とは理不尽なもので、圧倒的に税務署側が有利な仕組みになっています。
調査官は、誤っているという確信がなくても、とりあえずは否認指摘をして、
それを受け入れてくれれば否認=追徴税額が発生するという仕組みなのです。
これは「後出しジャンケン」みたいなもので、
税務署が絶対に負けないゲームといえるでしょう。
調査官:「これ、間違ってますよね?」
納税者:「はあ、間違っていると言われれば確かに・・・」
調査官:「では、修正申告をして追徴税額を払ってください」
調査官が否認指摘をして、それに反論できなかったので、
追徴税額が発生するケースがこれです。
いわば、税務署の勝ちパターンですね。
調査官:「これ、間違ってますよね?」
納税者:「いえ、これは○○なので問題ないはずです!」
調査官:「なるほど・・・じゃあ大丈夫です」
調査官が否認指摘をして、
適正に反論されたから否認指摘を取り下げるケースがこれです。
これは、税務署が引いたので、引き分けという感じでしょうか。
このように、税務調査は対面・口頭で行われるからこそ、
調査官も根拠なく否認指摘してくるようなことが普通に行われるわけです。
きつく反論するためにはどうすればいいのか?
さて、このような意外に適当な?否認指摘に対して、
きつく反論するためにはどうすればいいのでしょうか?
それは、「税務署に書面を提出する」ことです。
口頭で言う内容を、あえて書面にする意味があるの?
と思われがちですが、これが効果てきめんです。
なぜ、あえて書面を作成して提出した方が、
税務署調査では有利になるのでしょうか?
3つの理由があります。
3つの理由その①
①書面で論点を整理する
税務調査は口頭で行われることになるので、
調査官は論点をすぐにズラしてきます。
まさに後出しジャンケンで、
「ああ言えばこう言う」状態が続くことがあります。
ですから、反論内容をあえて書面にすることで論点がぶれず、
整理・固定化されるという効果があります。
3つの理由その②
②書面は調査官が嫌がる
税務調査の現場では、調査官は何とでも言えますし、実際に言います。
なぜなら、税務調査では税務署側が圧倒的に有利な立場であり、かつ、
税務調査内で言った言葉が何も記録されていないからです。
税務調査がすべて録音・録画され、それがネット上にでも公開されるものであれば、
調査官も迂闊な発言はしないことでしょう。
税務調査における反論を、あえて書面にして提出することで、
税務署には税務調査の記録が残ることになりますから、
調査官は書面提出されるのを嫌がります。
調査官が嫌がるということは、裏を返すと、効果があるということです。
口頭では適当なことばかり言っていた調査官も、
書面を提出されると、すぐに否認指摘を取り下げてくるケースも多くあります。
3つの理由その③
③書面は調査官の上司も見る
税務署の調査官もサラリーマンですから、税務調査の中であったことを、
すべて上司に報告しているわけではありません。
自身に不利な内容や、ムチャな否認指摘をしてきたことなど、
上司に報告する調査官はいないわけです。
だからこそ、税務調査で受けた否認指摘に対する反論を、
あえて書面で提出することにより、その内容が税務署の上司に届く、
ということになるのです。
調査官も自分1人であれば、無責任に何でも言っていたものが、
上司に内容を確認されると・・・というケースも多いのです。
最後に
税務調査は通常、対面・口頭で行われ、それで問題がなければいいのです。
ただ、いくら口頭で反論しても調査官が聞き入れてくれないケースなどは、
面倒ではありますが、あえて書面を作成して提出した方が、有利に事が進みます。
ぜひ、実践してみてください。