本サイトでは
「税務調査の前にやるべきこと」
として、税務調査の連絡があってから税務調査の当日までに、
過去の申告内容を見直しておくべきだと解説しました。
その見直しの中で、
実際に誤り・漏れなどが見つかった場合、
税務調査の前日までに修正申告を提出した方が得になるからなのですが、
これについて本コラムでは、さらに詳細に解説しましょう。
なぜ税務調査の前日までなの?
税務調査を受けて、その中で否認されて修正申告を提出した場合、
支払うべき税額に10%の加算税が課されることになります。
「税務調査におけるペナルティ(附帯税)は何%か?」
一方で、税務調査に関係なく、
確定申告した後になって自分で申告内容に誤りを見つけ、
自主的に修正申告を提出した場合、
ペナルティとなる加算税は課されません。
では、この「自主的に修正申告を提出」というのは、
いつまでを指すのでしょうか。
「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/100703_01/00.htm
<国税庁>
における第1の2
(修正申告書の提出が更正があるべきことを予知してされたと認められる場合)
には、下記の注書きがあります。
「(注) 臨場のための日時の連絡を行った段階で修正申告書が提出された場合には、
原則として「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当しない。」
難しい表現ではありますが、わかりやすく解説すると、
「税務調査の事前連絡をした後であっても、
税務調査の初日までに提出した修正申告には加算税を課さない」ということです。
税務調査の前日までなら重加算税も課されない!
仮に、あなたが故意に税金をごまかしていたとしましょう。
この状態で税務調査に入られ、この脱税行為が発覚した場合、
重加算税として35%ものペナルティを課されることになります。
しかし、です。たとえ脱税をしていたとしても、
税務調査の前日までに自分でその脱税を是正する修正申告を提出すれば、
税務調査において重加算税を課されることはないのです。
なぜなら、繰り返しになりますが、税務調査の日程を調整した後であっても、
税務調査の初日までに修正申告を提出した場合、加算税が課されないからです。
これには重加算税も含まれます。
ただし・・・5%の加算税は課される
上記のとおり、税務調査の事前連絡があってから、
税務調査の前日までに修正申告を提出した方が、
間違いなく加算税が減免されるわけですが、
1点だけ注意点があります。
最近の税制改正によって、税務調査の通知後に修正申告した場合、
「5%の加算税」が課されることになりました。
「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/kasan.pdf
<国税庁>
なお、この5%の加算税は、
「平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税から適用」
されることになります。
個人事業主の方であれば、
平成28年分の確定申告(平成29年3月15日が法定申告期限)
以降が対象となる税務調査、
また法人であれば、
平成28年11月決算以降が対象となる税務調査のみに適用になります。
どんな場合でも税務調査前に修正申告をした方が得
説明がかなりややこしくはなりましたが、
結論はどんな場合であっても、税務調査前日までに修正申告を提出した方が得、
ということは変わりません。
今回は、加算税が減免になることのみ解説しましたが、
事前に修正申告することで、併せて延滞税も減免されることになります。
税務署から税務調査の連絡があった、とあきらめずに、
税務調査の前日までであれば修正申告することで有利になりますので、
ぜひ対応してみてください。