これから独立して開業しようとする方や、個人事業主として起業したが、
法人にした方がいいのか迷っている方は多数いらっしゃることでしょう。
法人にすべきか、その大きな判断要素として税金が挙げられると思いますので、
今回は個人事業主よりも法人の方が節税になる理由を3つ解説しましょう。
納税額はシミュレーションしてみないとわからない
個人事業主と法人における税金上の一番の違いは、
個人事業主には所得税が、法人には法人税が課されることです。
そもそも税金の種類が違いますから、その税率も仕組みも相違します。
税率の大きな流れとして、所得税率は上がり続けており、
法人税率は下がり続けている、ということは間違いなく言えます。
一律で比べることは難しいのですが、
まずそれぞれの税率は下記のサイトをご覧ください。
「所得税の税率」(国税庁ホームページ)
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
「法人税の税率」(国税庁ホームページ)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm
設定されている税率もさることながら、
所得(利益)額によって税率自体が変わってきますので、
正確なシミュレーションは難しいのですが、おおむね1つの基準として、
個人事業主として1,000万円を超える利益があるのであれば、法人の方が得といえます。
例えば、個人事業主で売上が1,500万円、
その事業にかかる経費(生活費などを除く)が500万円の場合は、
所得(利益)が1,000万円ですから、法人にした方が税金の額は下がります。
法人なら出張日当で節税できる!
これは出張が多い事業をされている方の話にはなりますが、
法人にすれば出張した場合に、出張にかかる日当を支給することができます。
日当を受け取った場合、(それが不相当に高額でない場合は)非課税となっていますので、
日当を支払った法人では経費になる一方、
日当の支給を受けた個人は非課税として課税されませんから、かなりの節税になります。
例えば、出張日当を1日あたり3,000円と設定した場合、
月に5日間出張すると、法人経費は15,000円は増えますが、
15,000円を受け取った個人には課税されないことになります。
社宅にして節税もできる!
これは賃貸住宅に住んでいる方の話ですが、
個人事業主が自宅家賃を経費にできるのは仕事用の部分に限られ、
生活用のスペースの分と按分して計上することになります。
法人であれば、自宅を法人名義で契約して社宅とすることができ、
家賃を経費として計上することが可能です。
ただし、社宅としても全額法人の経費負担としてしまうと課税されることになりますから、
家賃の10~50%を負担することになります。
例えば、16万円の家賃のマンションに住んでいたとすると、
法人と役員が各50%負担として設定した場合、
住んでいる役員は8万円の家賃負担で済みますし、
法人の経費が8万円増えますから、節税になるということです。
社宅家賃を非課税とするための最低家賃の算出方法は、
下記の国税庁ホームページから確認することができます。
「役員に社宅などを貸したとき」(国税庁ホームページ)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2600.htm
保険の加入で節税できる!
一般的に節税手法として「(生命)保険」を活用することが知られています。
個人事業主が生命保険に加入する場合は、
「生命保険料控除」が適用できますが、
この限度額は年間12万円までとされており、大きな節税は見込めません。
また、法人の役員であっても、個人加入している保険があれば、
この生命保険料控除は認められますので、何も得にならないケースも多いです。
一方、法人で保険に加入する場合、その上限額は決められていませんから、
選択する保険の内容によっては、大きな節税効果を得られる場合もあります。
なお、法人が加入する保険はかなりの種類があって、
大きく分けても「全額損金」「1/2損金」「1/3損金」などがあります。
法人と役員が節税になる保険の種類とその額を、しっかり考える必要はあります。
法人の方が節税手段が多い
「出張日当を支給する」「社宅を活用する」「保険に加入する」と、
法人にしかできない3つの節税方法を解説してきましたが、総じていうと、
個人事業主ではできない・法人ではできる節税方法がある、ということになります。
個人事業で事業が上手くいっている方、もしくはこれから開業するのだが、
事業を大きくする自信がある方は、法人を設立して事業をした方が、
節税メリットは大きいのは間違いありません。ぜひ参考にしてください。